福島牝馬Sの前日4月19日、例によって蒲田の立ち呑み屋で熱燗をちびりちびりとやりながら、競馬新聞を眺めていたら、目にとまったレースがあった。


東京7レース、芝2400の500万条件。と書けば何の変哲もないが、気になったのは収得賞金の額。出走馬9頭中、まともな収得賞金といえるのはヒールゼアハーツの450万円とスプリングパリオの400万円。あとは200万の5歳馬が3頭。収得賞金200万というのは4歳夏以降勝ち鞍がないこと。しかもそのうちの2頭は芝未勝利。残る4頭は170万、80万、20万の地方出身馬。


これはどう転んでもヒールゼアハーツで堅そうだ。帰陣して酔っぱらった頭でターゲットを開いて各馬の戦績を調べると、地方出身馬はJRAで掲示板にも載ったことがない。収得賞金200万3頭中で芝を勝っているアメイジングアスク。父ステイゴールドだから2400で変わり身も考えられるが、前走2600、10着からの連闘。さすがに苦しい。


残るはスプリングパリオ。キャリアが少なく伸び代はありそうだが、前走を含め過去3回騎乗の戸崎が今回はヒールゼアハーツの手綱を取る。伝説の馬券師ピッツバーグ・フィルが言うところの「騎手良し馬良しなら有利な賭け」がヒールゼアハーツに当てはまる。


ヒールゼアハーツも4歳夏以降こそ勝ち鞍から遠ざかっているが、3歳秋には東京芝2400の500万条件を勝っている。加えて降級後の昨秋には東京芝2400で2着2回がある。そしても何よりもハーツクライ産駒のヒールゼアハーツが、アドマイヤムーン産駒のスプリングパリオに東京2400で負けてどうする。


翌日に競馬場でヒールゼアハーツの単勝オッズ確認すると1.1倍。銀行預金なら1割もあれば涎がでる利息だが。締め切り寸前まで迷った挙げ句、諭吉一枚をヒールゼアハーツの単勝に放り込んだ。たかだか1000円を儲けるための馬鹿な勝負とお思いのあなた。仰るとおりです。


結果は勝つには勝ったが、冷や汗もの。逃げたスプリングパリオが粘りに粘り、交わすのを手こずるヒールゼアハーツを双眼鏡越しに見た時は、ジャパンCで自信を持って消したアドマイヤムーンに突き抜けられた悪夢が過ぎった。着差は3/4差。うれしい誤算は単勝が1.2倍に下がっていたこと。


で、NHKマイルCへと強引に持っていくが、エーシントップはヒールゼアハーツほど堅くはないとみた。同馬の父テイルオブザキャットはストームキャット×ミスタープロスペクター×ボールドルーラー系の米血配合。北米でアーリントンミリオンやダート中距離GⅠの勝ち馬、オセアニアでニュージーランド2000ギニー馬を出しているものの、仕上がりの早さとスピードが売り。早熟とまではいえないが、この時期になると他馬との力の差は縮まっているはずで、スピードだけでも勝てないのがNHKマイルC。ヒールゼアハーツは買えても、エーシントップは人気だけに良くて抑えまでとする。微妙な言い回しは鞍上が内田だから。


狙いはヒールゼアハーツでお世話になった戸崎騎乗のゴットフリート。ロゴタイプと同じくサドラーズウェルズ系ローエングリン産駒。前走の敗戦は出遅れもあるが、ロゴタイプのように本格化するととことん強くなる一方、取りこぼしがあるのもサドラーズウェルズ系。


コパノリチャードが飛ばし、これを捉えに行くエーシントップ。ハイペース必至のここはサドラーズウェルズ系に追い風となる。


大穴にザラストロ。ホワイトマズル×ダンスインザダークの配合は、ど真ん中を空振りしても、インハイを強引に叩いてのスタンドインが期待できる。これまたハイペースは望むところ。


 
◎加藤栄…1956年、東京生まれ。頻繁に海外の競馬場を訪れ、幾多の大レース、そして名馬を実際に観戦して、というより現場で馬券を買う体験から執筆される原稿には定評がある。雑誌の連載も多数。(「田端到・加藤栄の種牡馬事典」より)



田端到・加藤栄の種牡馬事典 2013-2014
田端到・加藤栄の種牡馬事典 2013-2014・絶賛発売中!!